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第11章の37

 バンドブームの後は、メジャーシーンからは一線を画し、アンダーグラウンドなシーンで活躍しているが…  しかし、麻也もコピーしたバンド<デカダンス>や、その後のビジュアル系に大きな影響を、ベルネと彼のバンド<ビアズリー>は与えていた。  麻也と出会った頃、諒はベルネを越えたくて、でも、憧れて、 でもこの路線にもう少しメジャーっぽさを加味したくてもがいて…それで、麻也に出会った。  諒の固まり具合に、麻也以外は全員笑ってしまい、柴田もようやく、 「い、いつが都合いい? 」 「い、いつでもいいです。今日でも明日でも♪ 」 「諒、この後レコーディングだぞ。」 真樹の言葉も耳には入らない。仕方なく鈴木が、 「あの―、明日なら予定入れられるかも…」 すると柴田も、 「僕もちょうどいいな…じゃあさっそくベルネに電話してみるか。起きてるかな…」 「えーっ!! 」 ドキドキを隠せない諒は、乙女のように恥らいながら、柴田の携帯を見つめるばかりだった。 (諒…俺とベルネさんとどっちが大事…? なんて、絶対に言ってやんない。) 自分のことなど眼中にない諒を初めて見たような気がして、麻也は何ともいえない気持ちになった。 「あ、兄貴…」

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