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第11章の38
真樹の気づかいも余計に感じた。
というか、そうさせてしまう自分の空気がたまらなく嫌だった。
「あ、もしもし、ベルネ? 柴田ですけど…」
つながった…と、諒はガッツポーズだ。
「今、何してたの? え? 赤ワイン飲みながら作詞?
服は貴族のようなゴシックな白のひらひらシャツか?
あのゴシックな部屋でか? そーかそーか…」
カッコええ…うち震える諒を見て、麻也以外のみんなは声を殺して笑っている。
「あのさあ、急で悪いんだけど、ディスグラの諒くんとの対談、明日どうかな?
え? いいの? あ、ちょっと待って。諒くんと替わるから。」
携帯を渡され、再び諒はフリーズ…
「あのっ、はじめまして。ディスグラの諒と申します。
明日はよろしくお願いします…」
とだけ言うのがやっとだったらしく、すぐに柴田に携帯を返してしまった。
その後、柴田が時間と場所をすり合わせてくれたが…
…遅いじゃん、作業時間とカブったらどーすんだよっ、という麻也の独り言と舌打ちを、
柴田と諒以外の人間は確かに聞いた…
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