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第11章の39
「あ、兄貴の舌打ち、っていつ以来だろう…」
「えーっ!! 」
小声でみんなアセっているが、柴田と諒はまったく気づかず、
「やー、諒くん、よかったねえ。」
「柴田さん、本当にありがとうございました…」
本人に合う前から、諒はもう涙目である。
「あ、でも、いくら好きでもベルネにチューなんかしちゃダメだよ。」
ああ、そんなことを…麻也の機嫌にはらはらしている2人の背後は松竹新喜劇状態である。
「今から緊張しちゃって、そんなこと…」
緊張してなきゃするのかよ、と、舌打ちが響き…会議室の中は冷凍庫と化す…
「あと、押し倒すのもナシね。知っての通り、とにかく先輩のミュージシャンが黙っちゃいないから。
どうにかなっちゃったら、東京湾に浮くよ、ははっ…」
遅いわっ、とみんなが思った時、真樹がやっと、
「いやその前にもうヤバいんですけど…」
と、麻也の袖を引っ張って前に出そうとしてやると、麻也はぴしゃりとその手を払いのけた。
…でも、ベルネはメジャーデビュー前の、10代のモデル時代から、自らがバイセクシャルであることを公言している人間でもあるのだ。
実はいろんなことが想定できてしまって、麻也は倒れ込みそうになる。
(…でも…諒に似合う人間は、俺しかいないはず…)
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