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第11章の50

「今度何か一緒に活動できればいいのにね。」 と、ベルネが笑顔で言うと、柴田があわてて、 「そりゃそうだけど、今年も清家くんに一言相談してからじゃないとムリだろー! 」 清家くん、というのはベルネをこよなく愛する素晴らしい美貌のボーカリストなのだが… なんと、麻也もコピーをした、ゴシックロックの中では最もメジャーなバンド、 あの<デカダンス>のボーカルで、バンドそのものは東京ドームの経験もあるほどの人気だ。 その美貌の清家は諒より5才ほど年上で、ソロプロジェクトと言ってはベルネとライブをし、 アルバムも出し、とうとう昨年は思い余って、ライブ中にステージの上で、ベルネにディープキスをしてしまったくらいなのだ。 「え? 大丈夫だよ。諒くんには麻也くんがいるって日本中に知れ渡ってるんだから。一番安全だよ。」 その肝心の麻也が…とは、言い出せない諒だった。 「何より清家くんには妻子がいるんだから、妬く資格なんてないんだよ…」 「…って、清家くんに言える? 」 「う、うーん…」 と言って大笑いしたベルネにつられて2人も笑ったが、ふと、諒は、 このミステリアスなベルネにはどんなパートナーがいるのだろうかと、 ちょっとカマをかけてみたくなった。

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