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第11章の53
電話を切ると柴田が、
「諒くんの名前出した途端に<行きます、ゼッタイ>ときたもんだ。
しっかし、ベルネに監視衛星でもつけてるんじゃないの? 」
清家という人は温厚で誠実な人柄とは伝えられるが、目力の鋭さは諒でもちょっと怖い…
でもまあ、
「清家さんにお目にかかれるのは嬉しいです…」
とは言ってはみたが。…と、そこでまた柴田の携帯が鳴った。直人からだという。
「あ、俺の電源切ってて…すみません…」
「いやいや。はい。ああ、諒くんいるよ。ベルネと飲んでた…すまん。
そっちはレコーディング中だっちゅーのに…」
レコーディング中? ベルネはびっくりして諒の顏を見た。
諒は仕方なくうなずいた。
「…え? じゃあ、合流は直人くんだけ? 麻也君は倒れて真樹が付き添ってる? 」
諒は真っ青になった。予想はしていたものの…柴田があわてて携帯を渡してくる。
―作業がひと段落ついたら、麻也さん動けなくなっちゃって…
熱もあったから、真樹が、諒が戻るまで付き添って部屋にいるって。
でも、メンバー全員ベルネさんたちに会いたいんで、せめて俺だけでもってことで…
「麻也さん、何℃くらい? 」
―9℃はなかったけど…
ヒューヒュー、と、2人に背後でからかわれているのは嬉しいが…
「じゃあ直人、待ってるから。清家さんも来るんだ。場所は…」
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