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第11章の54
タッチの差で直人の方が早く着き、無事ディスグラの2人は清家を迎える事ができた。
清家も、すっぴんでも非常に整った顔立ちで、いつも鋭い瞳が優しさをたたえていたのが2人には印象的だった。
温かみのある人柄が伝わってくる笑顔で、彼が最初に興味を示したのは、自分と同じ、直人のワンレンストレートの黒髪だった。
「さわってもいい? 」
「はい。喜んで~! 」
それを見た柴田が、
「ベルネ、若いのに乗り換えられてるぞ! 」
するとベルネは自信たっぷりに、
「テクで取り返すから大丈夫♪ 」
と言い、それを聞いた清家がひっそりと頬を赤らめているのが、諒には何ともおかしかった。
ベルネも清家も、柴田から借りたビデオでディスグラの最初の武道館ライブを見てくれたということで、
諒と直人は恐縮することしきりだったが…
「今日はレコーディングなのに柴田さんに連れ出されたんだよ。オニだと思わない? 」
ベルネが隣に座った清家に言いつけ口で言うと、
「オニ、ですね。」
と、清家は冷静に返す。
そのストイックな様子が、まるで俳優の高倉健さんのようだと、直人と諒は声を殺して笑っていたのだが…
「え…どうしたの…? 」
仕方なく、2人が思ったままを白状すると、清家も笑い、ベルネは、
「そうでしょう。そういうとこも好きなんだよね。」
と、清家を抱き寄せる。すると清家ははにかむ。
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