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第11章の56
「いや、みんなの手前そう言っただけでさ。一晩寝れば、何とか…なってほしい的な。」
諒は胸を撫で下ろしたが、すぐに、
「麻也さん怒ってた? 」
「うーん、諒のことは一言も口にしなかったなあ…」
それを聞いて真っ青になった諒は、部屋まで上がってくれるよう、
タクシーの中で直人を拝み倒していた。
「うん、最初からそのつもりだったし…」
「それって…」
ますます諒は不安になるが、直人は笑って、
「でも、真樹もいるから大丈夫だよ。」
…と、直人と諒が部屋に入ると…麻也はソファに、その下で真樹は大の字になってじゅうたんに寝ていた。
テーブルには飲みかけのジンジャエール…
「…ん…ああ、お帰り。ごめん、寝ちゃって…」
先に起きたのは真樹の方だった。
「こっちはノンアルコールだったんだ。いいな、美味い酒だったって顔に書いてあるよ。」
ノンアルコールと聞いて、諒は密かに思いついた。
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