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第11章の57
「…あれ、みんなどうしたの? 」
姫のお目覚めだった。
「…ってか、直人、ちゃんとベルネさんたちと交流できたの? 」
「うん。そして無事、諒も帰還、と。」
麻也が何も言ってくれないので、諒は仕方なく、
「今日はレコーディングに間に合わなくて、申し訳ありませんでした。」
と、麻也に向かって深々と頭を下げた。が、麻也は不機嫌そうに目をそらしたまま、
「いいよ。どうせ諒は俺よりベルネさんの方が大事なんだろ? 」
「あのー、俺たち帰ってよろしいでしょうか? 」
痴話ゲンカに変化しそうだと判断すると、真樹と直人はさっさと玄関に向かっていった。
玄関で2人を見送ると、諒はすぐに麻也を抱き締めた。そして唇を重ねた。
「何だよ急に…」
まだお怒りモードっぽかったが、諒ははっきりと言わずにはいられなかった。
「俺、今日、ベルネさんに会ったことで、麻也さんのやり方と、ディスグラを見る目の確かさを痛感したんだ。
麻也さんの偉大さを再確認したんだ…」
「も―、何言ってるんだよ…」
はにかんだ笑みで麻也は目をそらす。
手がけているプロジェクトの大きさが想像できない、その天使のような可愛らしさ。
諒はいっそう強く抱き締めずにはいられない。
「麻也さん、俺をメジャーに連れてきてくれて本当にありがとう。
武道館にまで連れてきてくれて、ほんとにほんとにありがとう! 」
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