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第11章の58
「諒、ありがと。でも、バンドが上手くいってるのはバンドのチカラだよ。」
「うん、それもあるね。」
「あと、諒、言っておくけど…」
突然、諒の目を見つめて、麻也は冷静な口調で言った。
「諒はベルネさんを資質で越えてると俺は思ってるから。
キャリアは足りないかもしれないけど、方向性は違うかもしれないけど、
多くの人を包み込む諒の声の豊かさは、誰よりも優れていると思ってるから。」
…怒られるのかと思ったら…う、嬉しすぎる・・・
「まだまだ若造バンドだけど、絶対に俺たちはてっぺんに行くんだから。」
そう言うと、ちょっと恥ずかしくなったのか、麻也は身を振りほどき、
ちょっとふらふらしながらリビングへ…
それを見てまた心配になった諒はその後ろを追いながら、
「麻也さん、もう遅いから寝室行こう。で、今日のお詫びに少しだけマッサージさせて。
疲れが取れるって直人が教えてくれたんだ。」
信用できる「直人に」、というのに麻也はだまされ、おとなしく麻也は方向転換して寝室に向かい始めた。
(あ…でも、熱ある時にマッサージはまずいのか…あと…直人、ごめん…)
ちょっと不安になりながらも、諒も寝室に入った。
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