516 / 1053

第11章の58

「諒、ありがと。でも、バンドが上手くいってるのはバンドのチカラだよ。」 「うん、それもあるね。」 「あと、諒、言っておくけど…」 突然、諒の目を見つめて、麻也は冷静な口調で言った。 「諒はベルネさんを資質で越えてると俺は思ってるから。 キャリアは足りないかもしれないけど、方向性は違うかもしれないけど、 多くの人を包み込む諒の声の豊かさは、誰よりも優れていると思ってるから。」 …怒られるのかと思ったら…う、嬉しすぎる・・・ 「まだまだ若造バンドだけど、絶対に俺たちはてっぺんに行くんだから。」 そう言うと、ちょっと恥ずかしくなったのか、麻也は身を振りほどき、 ちょっとふらふらしながらリビングへ…  それを見てまた心配になった諒はその後ろを追いながら、 「麻也さん、もう遅いから寝室行こう。で、今日のお詫びに少しだけマッサージさせて。 疲れが取れるって直人が教えてくれたんだ。」 信用できる「直人に」、というのに麻也はだまされ、おとなしく麻也は方向転換して寝室に向かい始めた。 (あ…でも、熱ある時にマッサージはまずいのか…あと…直人、ごめん…) ちょっと不安になりながらも、諒も寝室に入った。

ともだちにシェアしよう!