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第11章の62

「大丈夫。イッちゃうかもしれないけど、それは自然なことらしいし。 マッサージするのは俺だから、恥ずかしいことないでしょ? 」 「うー…でも、やっぱりやだ。」 「でも、効果絶大だっていうよ。」 とにかく麻也を不眠から解放して、効きの悪い寝酒をやめさせたい諒はハラハラしていた。 「じゃあ、どう工夫すればできそう? 」 苦し紛れに、でもソフトな口調で尋ねてみたら、意外な答えが返ってきた。 「…その…部屋を暗めにして…その…エッチの延長線上のような感じなら…」 と、うつむいて言う。 「じゃあ、そうしよっか…」 と、諒もベッドにあがり、後ろから抱こうとすると、顏をそむけたまま、それは嫌だという。 「後ろからって…何か…嫌だ…」 「あ、じゃあ、いつも通り、顏が見えるようにするね…」 と、諒にも嬉しい展開になったが、いつも照れるあまり連発しているおちゃらけムードも今夜は封印して、 諒はこちらを向いてくれた麻也をまず抱き寄せて、ゆっくりと唇を重ねていった。 (俺の大事な宝物。世界一の王子様、麻也さん…) 愛してるよ、と声に出そうとしたら、麻也の唇に塞がれ、貪られ、 気がつけばいつしか夢中になって、お互いに抱き合って唇を求め合っていた。

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