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第11章の76
麻也の不眠は、毎晩の諒のマッサージやスキンシップで、良くなったように思われた
…そんな、麻也の心身の調子が戻ってきたところに、
その残酷な事実が告げられた。
「…80、万枚? タイアップもあるのに? なんで100万じゃないんですか!! 」
5枚目のシングル「エンジェル」の初出荷枚数が、100万枚ではなく、80万枚だというのである。
初めて聞く麻也の怒声に、社長も苦しそうに、
「…ん…まあ、レコード会社が決めたことだけどもさ…
まあ、俺も不服だけどもさ…俺もみんなも、最終的にはミリオン行くとは思ってるし…
あとはプロモーションがんばろう。絶対行くって。」
落胆の色が隠せない麻也の姿に、一番困り果てたのは諒だっただろう。
これからアルバムのレコーディングも本格化する中で、
他のメンバー以上に出稼ぎ仕事まで背負ってしまっている麻也。
この細い肩にかかりすぎている重圧を、自分も何とかできないものかと諒はまた思う。
…でも、それは、毎晩のような夜のお相手だけなのだろうか…何だかそれは違う気がする…
…麻也さんも抱え込み過ぎだけど…
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