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第11章の79
「麻也さん…」
麻也は眉間にしわをよせ、無言のまま、諒の顏を見上げ続けるだけだった。
「俺ね、麻也さんに殴られにきたの。
あのタイミングであんなこと言って本当にごめんなさい。」
諒は長身を折り曲げて詫びたが、麻也は目をそらすと無言だった。そして、
「ごめん、俺、今本当に混乱してて、何も考えられない。」
とだけ言うと、下を向いてしまった。
2人には珍しく、気まずい沈黙が流れた。
そこに、呼びに来たのが真樹だった。心配そうに、
「…社長が呼んでるけど…まだ、かかりそう? 」
2人はやっぱり沈黙…これには真樹も困ってしまい、
「…あのさあ、生意気言うようだけど、兄貴、今日はレコーディングにポイント絞って考えませんか? どう? 」
「…そうする。」
その言い方は、仕方なく、といった感じだったが、次の言葉には、諒と真樹は驚いた。
「…真樹、今晩、泊まりに行っていい? 」
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