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第11章の84

でも、それを認めることすら許せないのか、麻也はそっぽを向いている。 でも、ここでちょっと話しておかないと、何かが崩れていきそうで… 「…麻也さんの苦痛には、俺、なりたくないんだよ。それに俺たち、同じ男同士でフェアなわけだからさ。 何か最近、麻也さんを苦しめてるみたいで、俺もツラいんだよ…」 すると麻也は横を向いたまま、つらそうに、 「…ごめん。俺も…変なこと気になって…はっきり言えば…」 言いかけてまたためらう。 「…でも、諒が悪いんじゃないよ。…悪いのは…何だろうな…」 諒はこれ以上追及したくなかった。 それで考え出したのが、今の自分のありのままの気持ちを伝えることだった。 「…俺は、ありのままの麻也さんを愛してるから。 てれくさくて、<姫>とか言っちゃうことあるけど、 俺は、さっきみたいに男らしい麻也さんも好きだから… 俺、ひと目ぼれだったでしょ。 儚い綺麗さとミュージシャンの貫禄の、ギャップが、すげえ、カッコ良かった… あー、話してたら終わんないよ。 ただ、えっちでも、麻也さんのなすがままになっちゃう時も多いよね。 いつまでも麻也さんは頼れるアニキで、でも、支えたいとも思って…」 すると麻也は泣きそうな顔をして諒を見つめた。

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