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第11章の85
諒は続けずにはいられなかった。
「麻也さん、俺、麻也さんが生きているだけで、呼吸して、
こうしてそばにいてくれるだけでいいんだ。
幸せなんだ。」
「…諒…」
約束を破って、諒は思わず麻也を抱きしめていた。
「…だから…責任放棄じゃないけど、今、売れなくなったら、例えば2人で、
どっかの南の島に隠れて漁師とかしたっていいと思ってるよ。」
「なぜそこで漁師? 」
諒の腕の中で、ようやく麻也は声をあげて笑ってくれた。諒もつられて笑いながら、
「いや、俺もよくわかんない。休憩時間にテレビで見たせいかなあ。青い海と漁師生活。
2人が食べる分と、あと売るための1匹くらい釣ってさあ…でも、それもいいかなあ、なんて。」
「そっかあ、そういや俺たち、こんな風になる前から、その…」
と言って、麻也は頬を赤らめている。
「…だから、諒はわかってくれてるんだね。変わってないんだね。」
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