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第12章の3

山口の視線の先には、冬弥たちのレコード会社の課長と、 メンバーの事務所の部長がいて…彼らの陣中視察ということで、 またバンドが演奏することになり… 麻也としては、早く帰ってギターに触れたかったのだが、 何となく帰れないムードで、仕方なくまた山口の横で聴き… それが終わると、後から来た2人に誘われたので、山口も含めて4人で飲みに行くことになった。  麻也から見ても気の毒なくらいしょげた冬弥は他のメンバーとマネージャーに撤収されていき、 また、麻也はほっとして倒れ込みそうになった…  無難な感じの割烹の個室で、一番若い麻也はやや緊張しながら、みんなとビールを飲んでいた。  が、初対面の課長も部長も、麻也にはかなり気をつかってくれている感じで、 「いやあ、こうして近くで見るとほんとに美少年、いや、美青年だなあ、麻也くんは。」 「そうでしょう、ライブの時の、ワイルドな感じが不思議でしょ? 」 と、山口が言えば、部長は、 「うん、ライブでも、猫の目のように雰囲気や表情が変わる人だと思ってたけど…」

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