549 / 1053
第12章の3
山口の視線の先には、冬弥たちのレコード会社の課長と、
メンバーの事務所の部長がいて…彼らの陣中視察ということで、
またバンドが演奏することになり…
麻也としては、早く帰ってギターに触れたかったのだが、
何となく帰れないムードで、仕方なくまた山口の横で聴き…
それが終わると、後から来た2人に誘われたので、山口も含めて4人で飲みに行くことになった。
麻也から見ても気の毒なくらいしょげた冬弥は他のメンバーとマネージャーに撤収されていき、
また、麻也はほっとして倒れ込みそうになった…
無難な感じの割烹の個室で、一番若い麻也はやや緊張しながら、みんなとビールを飲んでいた。
が、初対面の課長も部長も、麻也にはかなり気をつかってくれている感じで、
「いやあ、こうして近くで見るとほんとに美少年、いや、美青年だなあ、麻也くんは。」
「そうでしょう、ライブの時の、ワイルドな感じが不思議でしょ? 」
と、山口が言えば、部長は、
「うん、ライブでも、猫の目のように雰囲気や表情が変わる人だと思ってたけど…」
ともだちにシェアしよう!