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第12章の12

「…俺はディスグラのボーカルだっつーの。もう、聞いてしまっただけで汚らわしくて、 まっすぐこの部屋に帰ってくるのもためらわれちゃって… も、よっぽど須藤さんの家にでも泊めてもらおうかとも思ったんだけど、 麻也さん、心配するかと思って… 」 「正解だよ。外泊されたら、俺、荒れまくったと思うもん。」 「でも…ごめんね、こんな嫌な話…」 「ううん、俺の方こそ、さっきはごめん。でも、諒、本当にどこにも行かないで…」 言ってから、今の言葉には二つ意味があるなと麻也は思った。 バンドのメンバーとして。恋人として… よっぽど弱った表情を麻也が見せていたということなのか、諒はいつしかいつもの諒に戻り、 笑顔でまた麻也を抱きすくめてくれながら、 「どこにも行くわけないじゃん。麻也さんとは一生いっしょだし、 バンドもこのまま4人でガチャガチャやっていくんだよ。」 そう言って、抱き合ったまま、2人して笑った…

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