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第12章の16
「いいえ…」
麻也は本当のことは言えなかった。自分のせいなのか、と。ショックだった。
(俺…そんなにくたびれて見えるのかな…諒、よく一緒にいてくれるな…)
先日の、いきなりの外人カメラマンの言葉が思い出された。
(年齢を、重ねる、か…言い方ばかり綺麗にしても仕方ないよな…)
隣の諒が気づかわしげに見てくるほど、麻也は落ち込んだ表情になっていたようだった。
とはいうものの、まだまだ小さい事務所なので、慢性的に人手不足が困ったところだ。
メンバー4人に対してマネージャー2人の体制は変わりないわけで…
やはり、生身の楽器であり、バンドの顏である諒には必ず須藤か鈴木がつくが、
あとのメンバーには、まあ男性だからということもあり、特別な用事がない限り、
臨機応変といったところだった。
が、諒は麻也の一人歩きを心配していた。
「俺のせいもあるけど、麻也さんはその…男同士のカップルのお姫様っていうイメージがついちゃったじゃん。
だから、大柄の男とかに拉致られたらとか、何か心配で…」
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