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第12章の22
インタビューも順調だったそうで、真樹は思ったより早く帰ってきて、レコーディングに戻ったが…
諒はその時、近所のティールームでインタビューを受けていて、スタジオにはいなかった。
「兄貴、現場でさ、例の件どうなってますか、ってこの人が。」
と、真樹から一枚の名刺を手渡された…と、見たが、麻也にはピンとこなかった。
「…えっ?…誰のマネージャー…? 」
「ほら、あの図鑑で共演した、モデルの希亜良(きあら)ちゃんって人の…」
「ああ、そう言えば、そんな人いたねえ…」
麻也にとってはその程度の認識だ。
「それなりに可愛いのに、一対一の撮影だったのに、それ? 」
と、真樹はあきれながらも、
「あの雑誌で一番人気だって話じゃん。だから、例の件よろしく、って伝言。
それを兄貴がやってくれたら、すぐに諒さんが図鑑に載るように手配しますよ、だって。
どんな話だったの? 人気モデルってそんなに力があるのかねえ。」
そこまで言われて、ようやく麻也は思い出した。
希亜良の兄がインディーズのバンドをやっていて、メジャーにもう一歩というところなので、
ビデオを見て、CDも聞いて、できればライブも見て、気に入ったら口添えしてほしいと言われていたのだ。
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