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第12章の25

「ええ、大丈夫です。諒の、つまり今のパートナーの前は女の子とつきあってましたし、 アイドルの女の子をいいなと思うこともありますから…ファンの気持ちとか視点もわかりますよ。」 しかしそこで、なぜ余計なことを付け加えてしまったのか… 「んー、まあ、未来のことはわからないですから、 また女性を好きになることもあるかもしれませんが…」 「…んーまあ、そういうのもこの業界では珍しくないですよね…」 と相づちを打ってくれる相原の笑顔を見て、麻也はちょっと不安を感じ、 「…って、みなさんおっしゃって下さいますが。」 と困って笑うと、相原は… 「あー、でも良かったあ。麻也さんが男性オンリーじゃなくって。 女性にしてみればもったいないですもん。」 と言う彼女の声には、やはり、仕事相手というだけではなく、 年上ながら、麻也に惹かれている色があるように麻也には思える。 「じゃあ、来週の仮歌入れの立会いも楽しみにしてます。」 「えっ? そうでしたっけ…? 」 麻也はびっくりしてスケジュール帳を見返したが、 その日はキャンペーンとレコーディングしか入っていない。

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