577 / 1053

第12章の30

 社長室では、社長と直人が待っていた。  きけば、直人にも諒は核心を話してはくれなかったので、 朝一番で社長のところにひっぱってきて、面談をさせてから取材に送り出したのだという。 「俺と一対一だっていうのに、まーだ何か隠すんだよなあ。俺も不安になるよ。」  そう聞くと麻也も不安になった。が、そこで直人が、 「じゃあ、俺、スタジオに行きます。あとはお2人だけの方がいいですよね? 」 「おう、何だか巻き込むだけ巻き込んで、悪いな。」 「直人、本当にごめんね。」 「いや、俺はいいけど、社長も麻也さんも気をつけて。すっごい疲れた顔してる。」 「おう、ありがとう。スタジオで時間出来たら焼肉おごるって真樹に言っておいて。」 「やったあ! ありがとうございます! 」  同じように疲れているはずなのに元気に出て行った直人に、麻也は拝みたいような気持だった。  社長と2人でソファで向かい合うと、社長は、 「まあ、ゆうべ、麻也に作詞家の女性から、デートの件でFAXが来たと。 さらにはリビングに、モデルの女の子からのラブレターみたいなものが落ちていたと。」 「はい…」

ともだちにシェアしよう!