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第12章の32
「えっ、そんな…俺、あそこは知人としか行ったことしか…」
「ちょっとまあ聞いて。…さらにはまた、諒に例の引き抜き野郎の1人が近づいてきてささやいたらしいんだな。
麻也がプロストで前の彼女とヨリを戻してデートしてて、
後をつけていったら、彼女のマンションに入っていったと…」
「前の彼女なんていないです…何より、プロストには本当に男の人と行ったんです。」
すると社長は麻也の目を見つめ、
「じゃあ、ちなみに誰といたの? 」
そこで麻也は詰まってしまう。
諒の引き抜き話と一緒にされては、と思って…だからウソをついた。
「…スナイカーズを一緒に手がけている山口さんです。」
「その人を女性に見間違うっていうのは…」
「ありえないです。俺くらいの身長で、髪もカッコも木内さんみたいな感じで…」
「ミュージシャンらしい中途半端なくしゃくしゃ髪か?
いや…引き抜き野郎が女だとねつ造するのはわかるけど、
木内さんがなぜそう言うかだよ…」
やっぱり疑われている気がする。
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