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第12章の33
それで麻也は仕方なく、
「何より、俺、前の彼女、って存在がないです。」
「えっ? お前、ずっと男専門じゃないだろ? 」
ますます墓穴を掘ってしまう。
でも、とにかく、坂口のことを思い出されたくない…
「いえ、そうじゃなくて、高2以来、定まらなくて、で、定まったら諒だったということで…」
「定まらない…? 」
ますます困る社長の視線が痛い。
「その…長続きしないというか…」
「あー、遊び相手が多かった、と。」
「はあ…だから、あの…お恥ずかしい話なんですが、俺、諒が人生初めてのきちんとした恋人なんです。
その前は若気の至りです。」
「おっ、断言したな…って、1000人だか2000人だかが若気の至りの一言か…」
…社長の情報網にまで、それが…
赤面しながら麻也は続けた。
「そんなにいってません! …で、諒に捨てられない限り、最初で最後かなあ…と。」
聞いている社長まで赤面しているのが麻也にもわかった。
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