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第12章の34
だが社長は、
「…でも、麻也、諒はかなりショックを受けていたようだったんで、
それが俺にもショックだったんで訊くけど、
女性との浮気は別カウント、って麻也の中では考えてるとか、
暗黙のルールとして諒に圧力を…」
「そんなことしないです! あ…すみません…」
麻也は思わず叫んでいた。社長も気をつかってくれてるのに…
「…俺、前のバンドの頃は何もかもうまくいかなくて、まじめにやっていても、
人に誤解されることが多くて、それがいまだにウワサで残ってるのかもしれませんが、
だからなおのこと、少しでも諒を傷つけないよう、俺なりに気をつかってるつもりなんですが…」
すると社長は背すじを伸ばして座り直し、麻也を安心させるように微笑みかけると、
「わかった。麻也の気持ちと事実を俺が諒に伝えて、
2人の家に戻るように言ってみる。
俺も再度、諒に訊きたいことがあるし。」
と請け負ってくれた。
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