583 / 1053

第12章の36

 取材が終わった諒は、スタジオに行くつもりだったのに、須藤に社長室に連れて行かれた。  疲れた体を引きずって…  そこで社長から、麻也の発言の一部始終を聞かされたが…その表情は晴れなかった。 「…何だよ、諒。麻也は最初で最後の恋人、とまで言ったんだぞ。」 「…ほんとかな…」 と、鼻白んだ顔つきをする。 社長はいつもの諒らしくないと不審に思い、 「諒、お前ヘンじゃないか? まさかヘンなクスリとか…」 「ええ、欲しいと思いますね! 洗いざらい麻也さんにしゃべらせる自白剤とかね! 」 そう言って諒は立ち上がり、無言のまま鋭い瞳で何かを訴えるように社長を見据えると、部屋を出て行こうと… 「諒! 話は終わってない! もっぺんここ座れ! 」 仕方なく諒は数歩戻って、また社長の前のソファに腰かけた。 「諒、お前こそ何を隠してるんだ? 」 諒は不意を突かれて動揺し、それを見た社長はヒートアップして、 「諒、今、口車に乗ってソロになっても、 お前の好きなことなんて、何にもできないぞ。」 「えっ…? 」

ともだちにシェアしよう!