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第12章の37
「キャリアのある人ならともかく、ロックなんてできなくなるって。
歌取り上げられて、俳優にでもされたらどうする?
何より曲だって、まだ麻也あってのお前だぞ。
それなのにバンドを離れたら、そのギラギラした強い美貌は邪魔になるだけなんだよ。
日本人離れしたプロポーションのロッカー4人だからこそ…」
「社長! だから俺は、ソロなんて考えてないですって…」
「じゃあ、何を隠してる? 俺に契約違反だなんて他人行儀なことを言わせたいのか?
俺にはお前らディスグラは息子なんだぞ! 」
そこまで言われて、諒は、天井を見上げ、大きくため息をつくと、話し始めた。
「それじゃあ、お話しします。
麻也さんの<前の彼女>っていうのはウソで、本当は<前の彼氏>です。
ロマンスグレーの素敵なおじさん…」
「はあ?! 」
「ね、麻也さんもウソついてたでしょ? 」
「じゃあ、木内さんが見たのは? おい、どういうことなんだよ?! 何より麻也は…」
「いない、って言ったのは<前の彼女>であって、<前の彼氏>とは言ってないでしょ?
言えるわけないんだ…」
「ええっ…? 」
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