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第12章の39
「で、その紳士って誰よ? 」
諒は諦めて口を開いた。
「…社長も聞いたことあるでしょ。あの人ですよ。
…その…ローベル企画の社長の…坂口ってヤツ…」
「あ、ああ…つまりは麻也の前の事務所の社長だろ。
最近は、芸能界のドンとか言われるようになったヤツ。
色々ウワサは聴くけど…
麻也はウチと契約する時、事実無根だって言ってたぞ。」
それを聞いて、諒はますます困った表情になった。
「…でも、俺、ツアー先でよく聞かされるんですよ。
麻也さんの、遊んでた頃の話とセットで、そいつの買ってくれたマンションに麻也さんが住んでて、
ポルシェまで買ってもらってて、それにまで、オンナを引っ張りこんでいた話…」
すると社長は落ち着いた様子で、
「…それは俺の耳にも入ってきたよ。同じようにウワサでね。
でも、それが本当だったら今頃アイツはここにいないだろう…
クビになることもなかったろうし…」
「浮気がバレて追い出されたとか…」
「でも、だとしても、単にパパと愛人のかんけーじゃん。
麻也の愛はそこにはないぞ。」
「そういう問題じゃないでしょ。」
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