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第12章の46
「えっ? 帰っていいんですか? さっきはダメって言ったじゃん。」
「あれは売り言葉に買い言葉。でも、もし帰るのキツいなら、俺の家かホテルになるぞ。
直人もレコーディングでナーバスになってると思うから。」
目をそらして諒は考え込むと、
「…麻也さん次第かな? 社長から訊いてもらうわけにはいきませんかねえ…」
ここまで語ってこの結論か…社長はため息をつき、しかし立ち上がって、机の電話の受話器を取り上げた。
「あ、もしもし、須藤くん? 麻也、今出られる? あー、麻也、俺だけど。
今晩、諒が2人の愛の巣に帰るのは可能? なるほど、仕事終わりに一緒にね。わかった。諒に伝えとく。」
そして諒には、
「いつも通りに、仕事終わりに一緒に帰る、だってさ。」
諒は照れているのか、あいまいにうなずくだけだった。
「でも、社長、俺、こんな、泣いちゃったりしましたけど、プロですから。
レコーディングには絶対ひびかせません。」
「そうくるだろうと思ったよ。頼んだぞ。」
ようやく社長にも笑みがこぼれた…
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