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第12章の48

 仕方なく麻也がベッドルームに入ってみると… ベッドの上には諒とはお揃いではない、 麻也が母にもらった白のシルクのパジャマが置いてあった… (同じベッドに寝るのもイヤってことか…お揃いすらもね…) あんなに自分にべったりだった諒が… 麻也はこんな事実を目の当たりにして、目の前が真っ暗になった。  それでも麻也は、せめて諒のメッセージを受け止めようと、 そのパジャマに袖を通し、他に寝るところもないので、ベッドにもぐりこんだ。  到底、眠れるものではなかった。 でも、レコーディングに響いては困る…少しでも寝なければ…  クローゼットの中には、以前もらった睡眠導入剤があることも思い出したが、 効きすぎて起きられなくなるのが怖くて、のめなかった。  …それにしても… 諒の中ではこの一連の件をどう消化して戻ってきたのだろう。 それとも真面目な彼らしく、単に、「レコーディング中だから、プロとして、フラットでなければ」という理性で戻ってきただけで、 やっぱり自分には怒りしかないのだろうか…

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