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第12章の51

 多くのファンも、名声にも、何の意味も感じられなかった。 今手がけているアルバムだって、自分がいなければ、 木内あたりが代わりのギターでも見つけてきて仕上げてくれるだろう… (諒、諒が気づいて怒った通り、俺は穢れた、軽蔑すべきヤツなんだよ…) 自分は男なのに、どうして、あの時…いくら薬を使われていたとはいえ… 何より、あんな社長を疑いもせず… 諒はどれだけ自分を軽蔑し、自分との日々を後悔しているだろう… これまでの時間を返してくれ… そう言われたら、自分はどう責任を取ればいいのか…  そう思ったら、大声を出さずにはいられなくなった。  更けていく深夜の空気の中で、麻也は大泣きし続けた… 他にどうすることもできなかった…  …次に麻也が目ざめたのは、冷たいコンクリートの上だった。  どうやらあのまま、自分は眠ってしまったらしい。  が、どんよりとした曇り空の下、 まだ生きているからにはここに転がっているのも…  と、次に気づいたのは…激しい悪寒…そして頭痛…

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