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第12章の53

…と、2人に玄関の中に入れてもらったところで、麻也は倒れ込んでしまった。 フローリングの床が気持ちいい… 「大丈夫ですか、麻也さん…」 須藤に助け起こされる。 その横を鈴木がすり抜け、リビングに入っていく。 話し声がするということは、諒もまだいたのだろう。 鈴木は出てくると、 「諒さんもひどい熱で、風邪っぽいです…」 「じゃあ、2人とも、病院へ、ね、麻也さん、行きましょう…」 思いがけない展開だったが、皮肉にも麻也は人のあたたかさが嬉しくなって、 涙があふれるのを止められなくなった。 鈴木が引っ張り出してきた、諒の厚手の黒のガウンをパジャマの上から着せられると、 麻也は諒と2人、須藤の車に乗せられ、事務所提携の病院に向かった。 後部座席に乗せられた2人はもうふらふらで… 隣りあっているお互いの顔を見る余裕はなく… しかし、紫のガウンの諒は、前を見たまま、 こてっ、と頭を、麻也の頭に預けてきた…

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