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第12章の55
診断結果は、2人共、風邪と中度の脱水症状で、
入院は二、三日になるだろうということだった。
ぐったりと車いすに座りながらも、
2人部屋がいいとか、ベッドはくっつけてくれとか諒がうるさいので、
2人はさっさと1つの広めの特別室に入れられてしまった。
が、もちろん、看護婦さんが点滴なんかをしやすいように、
ベッドは離されたままだ。
でも、お互いの顔は見えるので、何だか嬉しく、
新鮮な環境もあいまって、2人でニコニコしていた。
が、そのうち諒が、
「麻也さーん、愛してるよ~。トイレのアシストは任せて~」
と、力の抜けた笑顔で、これまた力なく手を振ってくる。
「トイレだけはやめて~」
かすかな声で、麻也が精いっぱい拒絶していたところに、須藤がやってきた。
すると、子どものようにややもしゃっとなった麻也の黒髪と、
必死に握り締めるている毛布から気づいたらしく、
「あ、もう~…社長も焦らず治せって言ってましたけど、
はしゃいで悪化はやめて下さいねっ!」
と、カミナリを落とすと、鈴木と2人で、当座必要そうなものを用意してくれて、帰っていった。
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