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第12章の58

「麻也さん、俺、起きてるから安心して寝ていいよ。」 と、点滴の最中から、頼もしく諒は言ってくれるが… 同じくらいだるい諒が起きていたところで何ができるのか… 麻也が目で訴えると、さすがは諒、読み取れたらしく、 「…ナースコールくらいはできるじゃん…」 確かに今のだるさでは、何かあっても、ナースコールのボタンに手を伸ばす気にはなれない… 何より、またいつものように諒に見守られるのは嬉しい… 「…ん…じゃあ、お願い。愛してるから…」 「麻也さんの愛してる、いただきま…ゴホゴホ…」 …しかし、あっという間に眠りに落ちた麻也が次に目覚めた時は、諒の寝息が… 麻也はせき込みながらも笑ってしまった… 背中の方から聞こえてくるが、寝返りもおっくうだった。 が、昼間の諒の寝顔が見たくて、寝返りをうった… こっちを向いて眠っている諒の表情は無防備で、あまり苦しそうではなかったことに安心して、 麻也はまた一人で微笑んでしまった…

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