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第12章の63

「真樹! ちょっと待って! ごほごほ…」 麻也は必死で叫んだので、せき込んでしまった。 諒は麻也の下半身にとりあえず毛布を掛けて隠すと、 ふらふらとカーテンを開けた…手には例のびんを持って… 「ちょっと、諒、何やってんの? 」 病人2人には輝くような生気に満ちあふれて見えるリズム隊のうち、 真樹はただびっくりしていたようだったが、 笑い上戸の直人は瞬時にわかったらしく、 「看護プレイだ~!! 」 と、腹を抱えて笑い出した。 諒は自慢げに、 「麻也さんの老後も安泰ですよ…」 「きゃはは、じいやったらすごい! 」 直人は絶賛したが、真樹は、 「直人、見つかっちゃうから静かにしろよ。」 と言い、麻也と諒には、 「俺たちはこれから、君たちの代理でラジオ出演なんだよ。 見舞いも禁止なところをこっそり来たんだよ。 こんなプレイじゃ労働意欲が削がれるよ…」 といったものの、途中から笑い出してしまい、 「…まあ、元の仲良しに戻ってくれて良かったよ。」 「直人も真樹もごめんね、って、こんなカッコで言っても説得力ないけどさ…」 寝たままそう言う麻也も、椅子に座り込んでしまった諒も顔色は悪い。

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