610 / 1053
第12章の63
「真樹! ちょっと待って! ごほごほ…」
麻也は必死で叫んだので、せき込んでしまった。
諒は麻也の下半身にとりあえず毛布を掛けて隠すと、
ふらふらとカーテンを開けた…手には例のびんを持って…
「ちょっと、諒、何やってんの? 」
病人2人には輝くような生気に満ちあふれて見えるリズム隊のうち、
真樹はただびっくりしていたようだったが、
笑い上戸の直人は瞬時にわかったらしく、
「看護プレイだ~!! 」
と、腹を抱えて笑い出した。
諒は自慢げに、
「麻也さんの老後も安泰ですよ…」
「きゃはは、じいやったらすごい! 」
直人は絶賛したが、真樹は、
「直人、見つかっちゃうから静かにしろよ。」
と言い、麻也と諒には、
「俺たちはこれから、君たちの代理でラジオ出演なんだよ。
見舞いも禁止なところをこっそり来たんだよ。
こんなプレイじゃ労働意欲が削がれるよ…」
といったものの、途中から笑い出してしまい、
「…まあ、元の仲良しに戻ってくれて良かったよ。」
「直人も真樹もごめんね、って、こんなカッコで言っても説得力ないけどさ…」
寝たままそう言う麻也も、椅子に座り込んでしまった諒も顔色は悪い。
ともだちにシェアしよう!