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第12章の65

 午後を回ると、普通食になったこともあってか、諒はかなり元気になっていて、 看護婦さんの目を盗んでは、麻也のベッドに入ってきていた。  諒は優しくキスをし、包み込むように抱きしめてくれるので、 麻也は嬉しいが、諒の回復が心配になる。 だから、諒を抱きしめる腕に弱々しくも力を込め、キスを返しながらも、 「…これって…ピンポンみたいに、風邪を延々と移しあうことにならないのかな…」 「同じ菌で、同じ薬で一気に治ってるんじゃない? 」 と、諒が楽観的なことを言うので、もうそれ以上は考えないことにした。 男2人にベッドは狭かったが、諒のぬくもりに麻也は幸せを感じていた。 すると諒はさらに優しく、 「麻也さん、無理しなくていいよ。もう、麻也さんの愛は十分に俺に伝わってるから…」 独占欲の強い諒に、珍しく満足げにそう言われると、麻也は安心して体の力ががっくりと抜けてしまった。 「麻也さん、おひるねしてていいよ。俺ずっとこうしてるから… って、気になってたんだけど…麻也さんこのパジャマどうしたの? 」 諒の素直な表情に、麻也はあの悲しい夜を思い出し、言葉を失い、涙がこみあげてきて困った… 「…諒が…これ着ろって…」 「えっ?… 」

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