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第12章の67
麻也はどうにか取り繕って、
「どこにも行かないよ。諒に出てけって言われない限り。」
「そんなこと俺、絶対に言わないよ。」
初めて結ばれた頃と変わらないピュアさで諒は言う。
それに乗じて麻也は、
「諒、俺も気をつけるから。忙しくてまたミスも出るかもしれないけど、俺のこと信じて。」
そう言って、麻也は自分の方からまた諒の胸に頬をうずめた。
諒はそれには唇を奪って応えてくれた…
退院すればすぐにハードワークに戻ってしまうのはわかっていたので、
主治医は心配して、退院を一日伸ばしてくれた。
が、レコーディングが伸びていることに変わりはないわけで…
病院での最後の夜は、2人とも浮かない顔だった。
もちろんパジャマのままで、病室のソファに並んで体育座りしながら、
麻也は上目づかいに諒を見つめ、
「諒、のどの方は大丈夫? 」
「うん…でも…」
「どうしたの…? 」
麻也がはらはらしながら尋ねると、
諒は困ったようにうつむいて、
「キャー、諒クン、恥ずかしー!! 」
「じゃあいいです。」
「麻也さん待って! 」
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