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第12章の68
諒は枕を抱いてもじもじして、
「いや、あの…ね…やっぱり俺、麻也さんともっと一緒にいる時間が欲しい…
ごめんね、ハードスケジュールなのに、できるわけないのに…」
「…」
本心は麻也も諒の愛を渇望してやまない人間だが、この願いはこのタイミングではやっぱり困る。
このハードスケジュールをまず乗り越えないことには、バンドが上昇できない…
でも、すれ違うからこんな入院のような迷惑な事態を招くわけで…
いや、本当は違う。麻也はまた思い出してしまって嫌になる…
(…永遠にふりだしに戻り続けるのかよ…)
それを忘れるように、隣の諒の、久しぶりに感じる、みずみずしい少年ぽさに気を向けることにする。
「…諒、わかった。俺も、1秒でも多く諒と一緒にいられるように努力する。」
「やったー! 諒クン感激~!! 」
「じゃあさっそく今からね。」
「やったあ! 明日は昼間の麻也たんいただきま~す! 」
…そう言って、次の日の昼に帰ってきた部屋だったが…
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