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第12章の69

 玄関に入るなり、麻也は暗い気持ちになる。 (諒、またいつもの暮らしに戻っていいの?…) でも、言ってしまえばまたモメるようで言えない… 「麻也さん、ひと息入れたら念のため、ベッドで安静にしてようよ。」 「うん…」  諒が元気で、声がふだん通りになっていることにほっとしながら、 まだ少しすっきりしない麻也は、諒に入れてもらった濃い目のシナモンミルクティをソファの上で飲んでいた。  そこに、麻也たちを送ってから買い物に出ていた須藤と鈴木が帰ってきて、 キッチンの方で、諒とあれこれ食料をしまい始めたので、 それをぼんやりと眺めていた。 その姿を見て、須藤が心配そうに、 「麻也さん、明日、大丈夫ですか? 」 と尋ねてくる。

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