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第12章の70
これまで見たことのないその不安げな表情に、麻也は笑顔を作り、
「大丈夫ですよ。今夜も諒が温めてくれるから。」
するとみんな笑ったが、冷蔵庫の前にいた諒も笑いながら、
「でも、麻也さんごめん。俺、ゆうべほど激しくできない~! 」
そんな行為はなかったのに、麻也は思わず真っ赤になってしまい、
それを見て今度は須藤が真っ青になった。
「えっ! そんな…話が違うじゃないですかっ! 」
「じょ、冗談ですよっ! 諒っ! 変なこと言うなよっ! 」
諒がペロっと舌を出したのを見て、須藤も胸を撫で下ろす。
すると、今度は鈴木が、
「あの…赤くなったり青くなったりで思い出したんですが…」
と、言いにくそうに話し出し、
「こちら、三田さんからお見舞いで…」
と、服が入っているらしい紙バックをそうっと麻也に差し出してきた。
「ええっ、何だろう…」
諒もすぐに麻也のもとにやってきて、2人は仲良く包みを開けた。
「わあ…あったかそうなパジャマ…タータンチェックなんておしゃれ。」
「麻也さんは青がほんとに似合うもんね。へえ、俺のはピンクなんだ…」
「可愛い…、諒、早く着てみて…」
「でへ♪ 」
「すみません、渡すの遅くなっちゃって…」
恐縮する鈴木には、忙しかったんでしょ、すみませんねえ、などと言いながら、
楽屋よろしく、2人はおニューのパジャマに着替え始めた。
「うーん、やっぱりスタイリストのセレクトは違うねえ。」
「諒、すっごく可愛いよ…」
と、笑顔になってしまったのがいけなかった。
それを見た諒は自信満々の笑顔で、
「麻也さん、今夜も燃えちゃう? 」
「だからそれはダメですったらっ! 」
須藤の制止が悲しく響いた…
そして…
…これ以上いると血圧が上がりそうだと言って、須藤と鈴木は帰っていった…
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