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第12章の73
そして、軽く麻也の唇にキスをくれると、抱き寄せて、眠る体勢…
でも、緑の目で見つめてくれて…
「…麻也さんとこうしてるとさ、愛し合ってる不良少年同士が、
世間から隔絶されて、倒れこんでるみたい…」
「そうだね、真樹や直人がいないとファミリーにならない感じ。
反社会的っていうか。」
「こんな言い方麻也さんイヤかもしれないけど、ジャン・ジュネとかの世界?
愛し合ってる、その…男娼同士、みたいな。」
麻也は照れて視線をそらしてしまった。
諒は驚いて、笑顔を作って尋ねてくる。
「どうしたの? 」
「え…いや…それ、俺も…初めての時に、思ったから…
諒の緑の目とか、白い肌とかが少年ぽくて、みずみずしくて、素敵だと思って…」
「嬉しい…」
麻也の黒髪をそっとかきあげて、諒は耳に触れてくる。
「でも諒、今となっては、俺たちもみんなに自分を売ってるようなもんだもんねえ…」
諒の目が一瞬揺らいだ気がして、マズい言い方だったかなと麻也は思ったが、
すぐにまた諒は笑顔に戻り、
「そうだね、思えば因果な商売だな…
でも、だから俺、麻也さんていう宝物を神様がごほうびに用意してくれたんだとも思う。」
「もう、諒ったら上手いんだから…」
「だってほんとだもん♪ 」
「うふ、俺も諒があ~…」
と、麻也は自分の頭を諒の頭にに押し付けた。
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