625 / 1053
第12章の78
ランチ休憩になったが、弁当が配られる間の雑談は、麻也は聞き流していた。
なぜならば、この後の久しぶりの自主練で思う存分ギターを弾き倒す…とまではいかないが、
ギターに触れられることにほっとしていて、そのことしか頭になかったのだ。
しかし…
「諒さん、そろそろ例のカバー曲も手掛けてもらわないと。」
という須藤の声で、また話の輪に入った。
「くーっ、忙しいなあ…」
と、諒が頭を抱え込むのに、麻也は、
「こうやって、諒もビッグになっていくんだね…」
と、心から笑顔で言って…困った空気になっていくのを感じた…
ここにいる誰もが思い出してしまうのは、例の引き抜き事件…
そして、麻也と諒の大ゲンカ…
みんなが黙ってしまったが、真樹は、
「で、兄貴、あの希亜良ちゃんのお兄ちゃんのデビューの件、どうすんのよ? 」
ともだちにシェアしよう!