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第12章の92

 店では、奥の座敷に通された。 「じゃあみんな、フォアグラ丼でいい? 」 すると恭一はやっぱり、 「いいよ、高すぎるよ。」 「俺は恭一に食べてもらいたいの! 」 「麻也たん、ダメぇ~!」 「諒は後で食ってやるから黙ってて! 」 「麻也さんワイルドでステキっ♪ 」 みんなに諒はひっぱたかれる。が、こりない諒は、 「麻也たんは愛より友情を取ったのね♪ 」 「兄貴、オトコだねえ…って、あれっ? 」 「麻也たん、絶対に後で、アタシを食べてねっ♪ 」 真樹と諒がみんなににらまれているうちに、麻也はオーダーをまとめてしまった。 「あー、じゃあ、フォアグラ丼とサラダとウーロン茶を9つずつ…」  ウーロン茶の乾杯のあとに運ばれてきたフォアグラ丼9つはなかなか壮観だった。 「うまーっ!! 」 「おいしいね~!! 」 見ると、恭一は箸を止め、何だか目のあたりを押さえている。 「あれ、恭一さん、どうしたの…? 」 「…」 真樹にも恭一は無言だった。

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