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第12章の93
「ほんとだよ。恭一、どうしちゃったの? 」
麻也が声をかけてやっと、恭一は声を詰まらせながらも、
「…いやあ、麻也が…麻也も…出世したなあって思って…」
「何だよー、こっちまで照れ…ちゃう…」
…といつしか麻也まで涙…が…
どうにか、
「…恭一のカレーの方が美味しかったよ…」
「…んなわけないだろ…」
と、2人は、おしぼりで目をぬぐっている。
だが、麻也は頭の片隅で、MA-YA時代のことにもっと触れられることを恐れた。
それで、この話題を終わらせようと思った。
「…恭一がいてくれたから、俺たちここまで来られたんじゃん…
ほんとにありがとう…」
「…こちらこそ、売り上げに貢献してくれて、ありがとう…」
と、恭一が冗談ぽく紛らせ、みんなも笑顔になったところで、恭一はまた箸を取り上げた。
みんなも箸を止め、須藤あたりはもらい泣きをし、諒まで嫉妬を忘れたかのようにうるうるしていたが、
「さあ、またレコーディングに備えて、スタミナつけましょう! 」
と、麻也が明るく声をかけて、食事会は再び始まった…
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