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第12章の94

 …家に戻ると、まだ本調子ではないということなのか、麻也は、どっと疲れを感じてしまった。 (楽しいことばっかりだったのにな…)  諒の方はと見れば、特に変わった様子もなく、それどころか、 「麻也さん、今夜はごちそうさま。 でも、おこずかい大丈夫? 」 「うん。別に今月は欲しいものもないか…あー! ギター…」 それを見て、諒は笑っていた…のに…  リビングのソファに2人並んで座り、風邪薬を、ペットボトルのコーヒーで流し込んだところで、 不意に抱き締められた。 そして、中くらいの強さのキスをされ、見つめられた。 諒の瞳を探るように見つめたが、どうしてか諒のそれは暗い色になっていた。 「諒…? 」 でも、諒は何も言わず、今度はもっと激しくしつこく唇を求めてきた。 …この雰囲気は諒が傷ついてるパターン… 原因は…やっぱり恭一、かな… そう思った麻也は諒の思うままにさせた…  キスが途切れた時、麻也は笑顔を作り、諒をあやすように言った。 「もう、諒ったら…」 すると、諒に腕を掴まれ、引っ張りあげられると、ベッドルームに連行された…

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