642 / 1053
第12章の95
…ジャケットがしわになっちゃうよ…
そんな軽口も許されないようなムードの中、麻也はベッドの上に押し倒され、諒に貪られ始めた…
こうして諒に強引に求められるのも、本当は好きだった。
愛されてる感、求められてる感が嬉しかったから…
しかし、いつも以上に疲れていて、諒の気を引くように、駆け引きを仕掛けることもできない。
「…や…諒…あ…」
…ただ、声は…抑えてももれてしまう…
自分もいつもよりも疲れているだろうに、諒の求め方は激しく…でも、思うように麻也の体は動かない。
どうしたの? と尋ねれば、ますます諒が傷ついてしまうような気がして、訊けなかった。
「あ…諒…諒…」
諒はいつものように、「もっと声を出して…」とは言ってくれない。
こんなことは珍しかった。
麻也は必死に声を殺すタイプなので、いつも通りをこころがけたけれど…でも…ダメだ…
でも、思わず、というのも許されない雰囲気で…
でも、自分の中心は、熱く硬く、諒を求め始めているのがわかって、恥ずかしい…
諒に一糸まとわぬ姿にされ、同じ姿の諒が覆いかぶさってきた時も、
諒の瞳の中は暗く、麻也は本当に不安になった…
それだけに、何としても諒を陥落させて、自分に抱きついたままにさせておきたい、と思ったのだが…
ともだちにシェアしよう!