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第12章の99

諒は思い切ったように、 「いや、麻也さん、だからお持ち帰りにはホレなかったってこと? 」 自分の過去を探りたいのを我慢しているような諒の様子に、 麻也は素直な気持ちを打ち明けることにした。 「うーん、それもあったのかもしれないけど… 自己中な言い方になっちゃうと…」 …ここまで言いかけたところで、後ろめたさが…でも… 「俺を満たしてくれたのは、諒だけってことなんだよね…」 「麻也さん、ほんとに? 」 「いつも伝えてるような気がするけど… もちろん俺も…諒のすべてに…ホレてるから、 本当にすべてを賭けて満たしてあげたいって思ってる…」 そう言って、麻也は、嬉しさで泣き出しそうな表情の諒の頬を右の人差し指で撫でた。

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