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第13章<壊れそうな愛>の1

「明日エステだかマッサージだかがあるのぉ~? 」  レコーディングスタジオの控室、遅い食事の時間に諒は大声をあげた。  ハードスケジュールで、特に麻也から疲れの表情が消えないので、 社長たちが考え出したのが、顔まわりも癒してくれる整体を、 メンバー全員に受けさせることだった。 「だったら睡眠時間増やした方がいいと思うけど…」 諒が言い募るのに、麻也はうつむいたまま済まなそうに謝った。 「ごめんね、俺が年寄りなばっかりに…」 「26歳で何が年寄りだよ。それより諒、お前が兄貴を寝かせてないんじゃねーの? 」 「俺も思った。あと、須藤さんから圧力とかかけられないの?  あのアイドルバンドの仕事、いい加減に切り上げるとか…」 リズム隊に言われて、頬を赤らめた諒をにらみながら、須藤は、 「麻也さんも諒くんには甘いんじゃないですか…」 「…いやあ、バンドの看板の福利厚生で…」 「福利厚生!? 麻也さん俺のことをそんな目でしか…」 須藤が咳ばらいをし、 「とにかく! 睡眠も大事ですが、体のゆがみも整えないと。 ジム通いの時間が取れないんで、せめて整体なんです。 高い演奏能力と、ルックスの良さの奇跡のマリアージュ! それがディスグラなんですから! …あ、すみません、電話…」 廊下に出て行った須藤が残していった熱弁に、メンバー全員、複雑な表情を浮かべていた。

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