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第13章の4
麻也より10歳年上で、同じように疲れている鈴木は度忘れしたらしく、
パラパラと手帳をめくり、
「…そうそう、麻也さんは対談ですよ。冬弥クンのバンドと…」
「はあ? どこの雑誌が載っけてくれるっていうの?! 」
「…例の<ベルティーン>で…対談終わりには他のモデルさんとかと撮影用のプチパーティー…」
「パーティーまで出なきゃダメ? 」
「撮影ですからねえ…諒さんは<お兄さま図鑑>の撮影だけになりましたが…」
それを聞いて、麻也はまた驚いた。
「山口さん経由で、希亜良ちゃんのお兄さんのバンドはボツになったはずだけど…」
すると鈴木は意外なことを言う。
「あの雑誌、今いろいろあるみたいで、部数が取れるディスグラは毎月でも欲しいんですよ。」
「でも、俺らと同年代のファンは本屋で買いにくいって…」
と、言いさして、麻也は、何だかんだいいながらも、麻也さん綺麗、とか言って、
諒がその雑誌の自分のモノクロ写真を大事にしまい込んでいたのを思い出していた…
さらにはその後は実物の自分を抱き寄せてきて…あんなことやこんな…
「麻也さん、何赤くなってるんですか? 何か…」
「な、何でもないよっ。で、いろいろって? 」
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