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第13章の20

「え…? 」 「自分がやられたように、自分より弱い子には仕事と引き換えに手を出すのよ。 もうトラウマなんじゃない? まあ、あんなに可愛いから、女も男も寄ってくるし。」 …諒は反論できなかった。希亜良の件もあったし… 「でも、相手は大物俳優の息子よ。藤田冬弥って子。 『テングになる前の諒みたいで可愛い」なんて言ってるけど… 自分に夢中にさせたらポイして楽しみたいんじゃない? 」 諒が何も言えずにいるので響子も困ったらしく、 「その…冬弥くん、は、麻也くんが今プロデュースしてるバンドのボーカルよ。 もともと麻也くんのファンだったから、お父さんたちにダダこねて、今回のレコーディングになったわけ。」 諒には初耳だった。麻也も、他の人間も、どうして教えてくれなかったのだろう。 「…麻也くんの手がついてからはもう、スタジオでもベタベタで、 ボーカルが関係ない日でもスタジオに来て、二人で帰って行くんだって。」 (麻也さんの帰りが遅いのはそのせいなの…?  でも、まさか…) 「証拠の写真、あげるわ。」 「えっ? 」

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