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第13章の23
諒は混乱するばかりだった。
「鈴音って…」
「親御さんは芸能界入りに反対したので、本人を上京させるために<大好きな麻也さんと仕事をさせてあげる>って口説いて、
陥落した本人から親さんを説得させたって。」
「…鈴音さんも、麻也さんのファンだったの? 」
「そうよ。それくらいじゃなきゃ、あの坂口社長が大事なアイドルを麻也くんに近づけるわけないじゃない。
デビュー前に食われないように今必死だわよ。ま、そうなると冬弥くんが盾かな。
うーん、でも、女の子の方が坂口さんには許せるのかな? 」
そして、諒は本当に聞きたくなかった言葉まで聞いた。
「坂口さんは、MA-YAに未練たらたらだから。
だから、系列の仕事がMA-YAに回っても何も言わないんじゃない? 」
諒は完全に打ちのめされた。でも、目の前のコイツにはそれを見せたくない…
しかし、やっぱり見透かされてしまったらしく、でも、追い詰める風はない口調で、
視線をそらして、響子はこう言った。
「冬弥くんのお父さんがうちの主人の大学の後輩なので、家族ぐるみのお付き合いなの。
私が麻也くんとのことを話せば、すぐに2人で冬弥くんのバンドをつぶしてくれると思うわよ。」
(何だよそれ…)
<バンドをつぶす>の言葉に諒が動揺していると、
案の定、響子は交換条件を出してきた。
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