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第13章の24

「その代わり…諒くん、一度だけでいいから、私とデートして。」 それがどういうことかは諒にもわかる。わざと軽く受け流して、 「いやいや、不倫になっちゃうでしょーが。」 すると今度はとんでもないことを言い出した。 響子は恥ずかしそうに眼を伏せ、 「うちは主人が20歳も上で…その…子供がいない私を気の毒がってて…その… 諒くんの子供なら産んでもいいって言ってるの。」 「いやあ、子供ならもう間に合ってますから…」 と、諒は笑って冗談めかしたが、響子は諦めずに、 「人工授精でもかまわないの…」 麻也に出会う前の様々な女遍歴を思い出した諒は、 これが女優の演技でも、人妻の嘘でもないことはわかる。 しかし、いつもの、響子の派手な女優ぶりが思い出され、 さらには肝心の麻也が大翔の誕生でどれほど苦しんだかを思い出し、 響子にぴしゃりと言ってしまった。

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